命を懸けた友情が、鬱々とした自分を孤独から救いだす
成長しすぎて自分の棲家である岩屋から出られなくなってしまった山椒魚は、ひょっこり現れたバカな蛙と、コントのような噛み合わない会話を重ね、愛憎を超えた究極の生涯を全うする。井伏鱒二の名作「山椒魚」を土台に、その前後日談を付け加え、孤独と友情をテーマにしたユーモア満載の快作。
子供たちにとって友情は身近なテーマですので、偏屈で強い山椒魚が、弱い蛙に翻弄される様や、小ネタに大声で笑いながらも、ラストシーンでは集中して観劇していました。
井伏鱒二の小説からは読み取りきれないユーモアを演劇ではすごく感じとることができました。山椒魚で生徒たちがこんなに笑うとは思ってもみませんでした。ホール中に響き渡る大きな声、その役になりきった迫力ある演技、一つ一つのセリフ毎に変わる多彩な表情、少しの動きからも伝わる力強さ、全てにおいて驚きとともに感動を覚えました。